【司法書士が解説】尊厳死宣言公正証書とは?メリットや費用、遺言書と同時に作るべき理由

自分が回復不能な状態になったとき、「無理な延命治療はしないでほしい」と望む方が増えています。その確実な意思表示として注目されているのが「尊厳死宣言公正証書(そんげんしせんげんこうせいしょうしょ)」です。

相続や終活のご相談を受けるなかで、「家族に辛い決断や無理な負担ををさせたくない」というお声をよくいただきます。そんなときに、この尊厳死宣言公正証書は遺された家族の心の負担を減らすために非常に重要な役割を果たします。

本記事では、相続手続に注力する司法書士の視点から、尊厳死宣言公正証書のメリット、費用、作成の流れまでを分かりやすく解説します。

1. 尊厳死宣言公正証書とは?

尊厳死宣言公正証書とは、自分が不治の病に侵され、かつ死期が迫っているときに、「延命治療の中止(尊厳死)」を希望する意思を公証人の前で宣言し、公的な文書(公正証書)として残すものです。

いわゆる「リビング・ウィル(生前の意思表明)」を、最も証明力の高い公正証書という形で作成します。

公正証書に記載する主な内容

  • 不治かつ末期状態になった場合は、延命治療を断ること
  • 苦痛を和らげる緩和ケアは十分に受けたいこと
  • この宣言に同意し、医師の責任を免除すること
  • 家族もこの意思を全面的に尊重していること

2. 尊厳死宣言公正証書を作る3つのメリット

口頭やエンディングノートに書くだけではなく、なぜ「公正証書」にする必要があるのでしょうか。その理由・メリットは大きく3つあります。

① 医療現場での実効性が高い

日本には現在、尊厳死を直接定めた法律がありません。そのため、医師は「治療を止めると法的責任を問われるのではないか」という不安を抱えがちです。

公証人という公的な専門家が本人の意思を確認して作成した公正証書があれば、医師も安心して本人の尊厳を尊重した判断を下しやすくなります。実際に、多くの医療機関がリビング・ウィルを受け入れています。

② 家族に「辛い決断」をさせずに済む

判断能力や意識がない本人の代わりに、家族が「延命治療を止めるかどうか」を判断するのは、非常に重い精神的負担になります。

万が一にも「自分が決めたことは間違いではないか」という罪悪感を家族に抱かせないために、「これは本人が自分で決めたことである」という客観的な証拠を残しておくことが、最大の家族思いになります。

③ 本人の意思能力が確実であった証明になる

認知症などが進行した後に書かれた書面は、「本当に本人の意思か?」と疑われるリスクがあります。

元気なうちに公証役場で作成することで、「しっかりとした意識と判断能力をもって作成されたもの」という強い証明力が生まれます。

3. 遺言書や家族信託と「同時作成」を勧める理由

当事務所では、尊厳死宣言公正証書を単体で作るだけでなく、「遺言書」や「家族信託」などと同時に作成することを強くおすすめしています。

理由は、これらはすべて「終活の一連の流れ」として繋がっているからです。

準備する制度 サポートする時期 目的・役割
尊厳死宣言公正証書 認知症~お亡くなりになるまで 本人の尊厳(身体・医療)を守る
家族信託・任意後見 認知症~お亡くなりになるまで 財産管理や費用支払いを確実に行う
遺言書 お亡くなりになった後(相続) 遺産分割のトラブルを防ぎ、家族を守る

生前の医療方針(尊厳死宣言)から、病気や認知症になったときの財産管理(家族信託)、そして亡くなった後の資産引き継ぎ(遺言書)。これらを一気通貫で設計することで、ご自身にとっても家族にとっても、死角のない完璧な安心を手に入れることができます。

また、同じタイミングで公証役場を利用することで、手続きの手間や必要書類の収集(戸籍謄本など)を一度にまとめられるという実務上の大きなメリットもあります。

4. 作成にかかる費用と必要書類

尊厳死宣言公正証書を作成する際にかかる主な費用・必要書類は以下の通りです。

尊厳死宣言公正証書 料金表

尊厳死宣言公正証書作成サポート 50,000円~
公証人手数料 16,000円程度

主な必要書類

  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 本人の実印と印鑑登録証明書

5. 司法書士へ依頼するメリットと作成の流れ

公正証書はご自身だけで公証役場へ行き作成することも可能ですが、司法書士などの専門家を間に挟むことで、よりスムーズかつ確実な内容に仕上げることができます。

司法書士にお任せいただくメリット

  • 最適な文面の起案:ご希望をヒアリングし、医療現場や家族に最も伝わりやすい文面を作成します。
  • 公証役場との事前調整:公証人との面倒なやり取りや予約、書類の提出をすべて代行します。
  • トータルな終活設計:円満な相続や不動産の名義変更(相続登記)の視点も含め、遺言書・家族信託などと組み合わせた最適な提案を行います。

ご相談から完成までのステップ

  • 当事務所へのご相談・ヒアリング(ご本人の希望や家族構成の確認)
  • 文案の作成とご確認
  • 公証役場との打ち合わせ・日時決定(司法書士が代行)
  • 公証役場での当日手続き(ご本人と司法書士が同行)
  • 公正証書の完成・保管

まとめ:未来の家族への優しさを、今カタチに

尊厳死宣言公正証書は、決して「死」を後ろ向きに捉えるものではありません。最後まで自分らしく生き、そして大切な家族を困らせないための、前向きな「家族への思いやり」のカタチです。

「何から手をつけていいか分からない」「遺言書も一緒に検討したい」という方は、ぜひ一度、相続と終活の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。あなたとご家族に寄り添った最適な終活をサポートいたします。


相続・遺言に関する休日無料相談会
03-3386-5430 もちろん平日も相談OK!お気軽にご相談ください。
当事務所に寄せられた相談事例
PAGETOP