相続登記義務と過料の対象について 対象となる人

 相続登記の義務化により、不動産(土地・建物)を相続で取得してから3年以内に相続登記をすることが相続人の義務になりました。

 それでは、相続登記の義務の対象となる人や不動産、そして過料の対象について確認してみましょう。

●相続登記義務の対象となる「不動産」はどういう不動産か

●相続登記義務の対象となる「人」は誰か
 相続登記義務の対象となる人は、法律で「所有権の登記名義人について相続の開始があったとき」の「相続により所有権を取得した者」とされています。(不動産登記法 76条の2)

・「相続により」
 法律で、「相続により」所有権を取得した者が義務の対象と規定されていますので、所有権を取得した原因が相続である人(相続人)が対象になり、相続以外の原因で取得した人は対象になりません。ただし、「遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。」とも規定されていますので、原因が相続ではなく遺贈であっても遺言により遺贈を受けた相続人は対象になります。
 なお、遺言により遺贈を受けた相続人以外の人・法人や、相続ではなく死因贈与を受けた相続人、家族信託が相続発生で終了した後に信託財産引継を受けた相続人などは対象外となります。

・「所有権を」 
 法律で、相続により「所有権を」取得した者が義務の対象と規定されていますので、所有権以外を取得した人は対象外です。
 所有権の登記名義人である被相続人が亡くなった場合であっても、配偶者居住権を取得した相続人、債権の担保である抵当権の債務者を承継した相続人などで所有権を取得していない人は対象外となります。

・「取得した者」 
 法律で、相続により所有権を「取得した者」が義務の対象と規定されていますので、所有権を取得していない人は対象外です。
 相続人間の話し合いで不動産を取得せず預金だけを取得した相続人などは対象外となります。仮に相続人間の話し合いで不動産を取得した相続人が相続登記義務を果たしていなかったとしても、不動産を取得していない相続人は相続登記義務の対象外となります。
 相続登記義務と直接の関係はありませんが、相続人間の話し合いの内容・結果について、後から誰が見ても分かるようにしっかりとした遺産分割協議書を作成し保管することが重要です。

●まとめ
 ここまでをまとめると、相続登記義務の対象となる人かどうかは、不動産を取得した人が相続人かどうか、相続人が相続によりどのような権利・物を取得したかどうかを確認することが大切です。また、相続登記義務の対象外であっても、なるべく早く円滑に相続手続・登記手続をすることはとても大切です。

 当事務所では、司法書士・土地家屋調査士・行政書士の3つの資格により、一人一人で異なる相続における様々な問題について最善の解決方法をご案内いたします。どうぞお気軽にご相談ください。

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