相続人申告登記とは
相続人申告登記とは、相続登記義務化に伴い新たに設けられた制度です。
相続登記義務化により、相続登記申請義務を怠ったときは10万円以下の過料(いわゆる罰金)の対象となります。
相続人申告登記は、早期に遺産分割や相続登記をすることが難しい場合、当面は遺産分割を行う予定がない場合や相続登記申請義務の期限が迫っている場合に、簡易にその相続登記申請義務を果たすことができる仕組みとして新設された制度です。
相続人申告登記は、一般的な相続登記とは以下のような違いがあり、比較的簡単に手続をすることができます。
●相続人一人だけで手続ができる
●押印が不要
●戸籍などの提出書類が少なくて済む
●登録免許税は非課税
なお、相続人申告登記は、遺産分割に基づく相続登記の義務を果たすことはできないため、相続人申告登記の後に遺産分割がまとまった場合には、その遺産分割から3年以内に相続登記をしないと過料の対象となってしまうことに注意が必要です。また、相続人申告登記の後にその相続不動産を売却するような場合には、改めて相続登記を申請しないと売却などの手続は進められないことにも注意が必要です。
また、相続人申告登記では、その手続をした相続人だけが相続登記の義務を果たしたことになります。つまり、相続人のうち誰か一人が相続人申告登記をしたとしても、他の相続人は相続登記の義務を果たしたことにならず過料の対象となってしまうのです。
このほか、相続登記義務化・相続人申告登記とは別の現所有者申告制度という制度があり、相続人申告登記を行って相続登記の申請義務を果たすことができたとしても、相続人は相続から3か月以内に自治体に対してその土地建物の現所有者であることを申告する必要があります。そして、3か月以内に現所有者申告をしない場合には、条例により10万円以下の過料の対象となることにも気を付けなければなりません。
相続人申告登記は、使い方によってはとても便利な制度ですが上記のような注意点もありますので、相続が発生した場合にはなるべく早めに司法書士などの専門家に相談したうえでどのような手続をするべきか検討したほうがよいでしょう。
当事務所では、相続人申告登記や相続登記をはじめ、相続に関する相談を随時受け付けておりますので、どうぞお気軽にお声掛けください。
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